いて座(射手座)

   11月22日〜12月21日




いて座の設定は古く、シュメール文明に起源を持つとするのが定説である。バビロニアのネブカドネザル1世時代(紀元前1300年頃)のものとされる境界石標には射手と馬ならぬさそりが合体し、さらに羽根を生やしている蠍人間として描かれている。 アシュールバニパル時代にはパ・ビル・サグと呼ばれ、「ギルガメッシュの叙事詩」にも登場する。
ギリシア神話では、いて座はさそり座に弓を向けるケンタウロス(ラテン語ではケンタウルス)として描かれる。勇者オリオンを刺し殺し、その功績で星座とされたさそりが、天上でも暴れたとき、すぐに射殺することができるよう、いて座の弓は常にひかれたままであると解釈されている。これは、しばしばいて座がケイロン(ラテン語ではキロン)と同定されていることと併せて出処不明の俗説で、根拠のない誤りとされる。偽エラトステネスは、この星座をケンタウロスと見る人とそうでない人がいるといっている。ケンタウロスではないと主張する人たちの根拠として、ケンタウロス族は弓を使わないこと、星座の下半身が見えないことを挙げている。その場合は馬の足と獣の様な尾を持ったサテュロスと見られる。 偽エラトステネスは、アレキサンドリア派七星詩人のひとりソシテオスの伝える話として、このサテュロスを弓を発明したクロトス(Crotus)と同定している。クロトスはムーサイの乳母だったエウフェメー(Eupheme)の息子である。クロトスがサテュロスなのは、ヒュギヌスによれば、彼の父がパン(Pan)であるからだという。彼はしばしば、自分が発明した弓を持ち、馬に乗って狩りに出かけたという。クロトスは、ヘリコンや間でともに暮らしたムーサたちの、彼の弓の技量を空で顕彰してほしいとの願いによって、ゼウスに頼んで星座にされたという。