第23回九州マイクロウェーブ・ミーティング報告
第23回九州マイクロウエーブ・ミーティングが3月4日(土),5日(日)の2日間,福岡県柳川市の柳川簡易保険保養センター「かんぽの宿 柳川」で開催されました。
柳川市では,3月から4月にかけて雛祭りが催されており,会場のロビーにも豪華な雛人形が飾られ,部屋の窓からは名物の川下りの船がゆったりと行き交う様子も見られました。
今回は,1エリア・3エリア・4エリアからの参加も含め,41名の参加者がありました。
セブロン電子,ミリコム等のマイクロ関連部品の展示即売や各局の実験結果や機器の展示等が行なわれました。
土曜日の懇親会では,参加者の自己紹介や各地の活動状況報告,お楽しみ抽選会行われました。

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セブロン電子,ミリコムのパーツ販売 |
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JA6BLS製作の電動雲台
信号を受信すると自動停止する
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JA6DM 於保さん |
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懇親会で挨拶をする
JA6AQ岡崎実行委員長
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JM6NCX製作 24GHz
PLLシンセサイザーVCO
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JA3CVF製作 77GHz帯トランシーバー |
2日目の講演及び研究発表会は,午前8時40分よりJA6LUH中島OMの進行で開会しました。発表の概要は以下のとおりです。
JG1QGF 種村 陽亜 OM
マイクロウエーブ界の動向について
総務省がUWB(Ultra Wide Band)無線システムについて意見書を募集していた。UWBとは,3GHzから10.2GHzを利用して,データを1GHz程度の極めて広い周波数帯に拡散して送受信を行なうもので,様々な方式のものが提案されている。その他,PLC(Power
Line Communication),2.4G・5GHz帯の無線LANなど,業界からの開放圧力が非常に強まっている。安定した通信を求めるプロに対して,アマチュアは微弱な信号での通信を行っているため,UWBやPLC,無線LANでノイズレベルが上がってしまうことが問題となる。天文の分野でも,宇宙からの電波を観測している研究者にとっても重大な問題である。 迷惑な話という主張をするだけではなく,利用することもこれから考える必要がある。
JR3JZM 上島 範生 OM
47GHz,77GHz逓倍器の製作について
製作しやすいこと(再現性重視),シンプルであること(価格が安い)を目標にデザインをした。基板はDB6NT,ダイオードはシングルビームダイオードMA/COM MA4E2037とアンチパラレルビームダイオードHP HSCH-9251で実験したが,結果的にはシングルビームダイオードの方を採用した。ケースへの基板の取り付けは,導電性接着剤を使用し,基板が薄いことからケースとの間に隙間ができないよう工夫した。ダイオードは大きさが約0.4mmと非常に小さいため,竹串で位置を決めながら慎重にハンダ付けした。逓倍器として使用したとき,20dBmの局発入力に対し,78GHzで+3dBm,47GHzで+9dBmの出力が得られた。また,受信ミキサとしたとき変換損失は78GHzで21dB,47GHzで17dBであった。トランシーバーへ応用したとき,77GHz逓倍器は送受信共用使用でき,導波管切り替え器が不要である。また,38GHzまでの回路は,発振周波数を変更するだけで送受信共用使用ができる。

JM6NCX 時藤 勉 OM
24GHz PLLシンセサイザーVCOの試作
遠距離通信での待ち受けにおいて,周波数の安定度を高める技術,方向合わせの基準の高精度化が必要である。自分のパラボラの特性を知ることも重要であり,サンノイズが最大になるポイントを探し,そのときのGPSデータと付き合わせるとよい。
周波数の安定度を目指した24GHz PLLシンセサイザーVCOを試作した。周波数安定度は30分経過後で200〜300Hzで,4ビットSWで10MHzステップの可変ができる。最近はチップ化されたパーツが多く,実体顕微鏡が必要である。電熱コンロを利用し,簡易リフローハンダ処理にも目途がついた。
インターネットでは40ドル位でカタログに載っているデバイスでも,実際に輸入すると,送料や税金などが加わり,倍位になってしまう。新しく24GHzで出力1Wが得られるデバイスが夏頃には入手できそうなので11月の全国マイクロウエーブ・ミーティングで発表したい。
JA6BLS 瀧本 和美 OM
78GHzトランシーバー製作について
JR3JZM上島さんの試作基板を基に,78GHz帯トランシーバーの製作を行っている。現在は室内での実験のみである。導波管が内径3mm,外径4mmと細いため,パラボラに取り付けたとき,カセグレン部の重量を支えきれない。このため,導波管部分を二重構造にして補強した。
JA6DME 和田 浩一 OM
マイクロウエーブ北九州の活動について
北九州グループでは,昨年1年間に18回の移動運用を行った。2月20日には天山と山口県華山の間147kmで47GHzのDX記録を作った。その他にも宮崎,四国,韓国ともQSOしている。
来年の第24回九州マイクロウエーブ・ミーティングは北九州地区での開催が決まっており,柳川グループから北九州グループへ引継ぎが行われました。ます。柳川グループのJA6CWQ馬場OMからは,若いメンバーを増やす努力をしなければとの提言がありました。 |