常識に欠ける
(重言:同じ意味の言葉を二度繰り返してしまうこと)

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   解説
嫌悪感を感じる これは「嫌悪を感じる」「嫌悪感がある」で十分。同様に、「充実感を感じる」、「判を押捺する」というのは、同じ意味がダブっている。
まだ未定 「未」に「いまだ」という意味があるから、「未定」というだけで、「まだ決まっていない」の意味になる。「いまだ時期尚早」「まだまだ未熟」「まだ未提出」なども、同じタイプの重言。
一切を一任する この場合の「一」は、「ひとつのこと」ではなく、「すべて」の意味での「一任」で「すべて任せる」と言い切っている。これでは「すべてすべてを任せる」になってしまう。
記録をマークする 「マーク」は「記録する」の意味。「世界新記録をマークしました」という興奮したアナウンスが、オリンピック期間中に何度も流れるが、本当は「世界新記録がでた」でよい。同様に「製造メーカー」も「メーカー」だけで「製造者」ということになる。
各位殿 「各位」で「皆様」という意味を持っている。また、「各」と「ごと」は同じ意味。学生が教師宛てに手紙を書くときに、「○○先生様」と書くのも重言。
いにしえの昔 「いにしえ」は「古」と書き、それ自体にむかしという意味がある。「はるか」や「ずっと」という意味合いの形容詞ではない。
犯罪を犯す 「犯罪」に「罪を犯す、犯した罪」との意味がある。「罪を犯す」といえば問題ないが、「犯罪」といってしまうと、そのあとに適切な動詞が見つからないため、「犯罪をする」ともいえずに、「犯罪を犯す」と表現せざるをえなくなる。「被害を被る」も同じパターン。「被害」の場合は、「被害を受ける」「被害がある」と言い換えることが可能。
排気ガス 「排気」だけでも「排出されるガス」になる。ある時期から、「排気ガス」を略して「排ガス」と呼ぶようになったが、省略された「排ガス」が重言ではない正しい言葉。
平均アベレージ 「アベレージ」は「平均」ということ。語感だけをとらえて使った結果、「平均の平均」という意味不明な熟語を作ることになってしまう。「時速一〇〇キロのスピード」、「思わぬハプニング」も同じパターンの重言。「ハプニング」が思いがけない出来事の意味。
コラム欄 「コラム」には、「新聞や雑誌で短い評論など載せる欄、その記事」と二つの意味がある。「コラム」を「記事」と考えれば、この使い方は間違いではないが、「欄」という意味があるのだから重言になる。「リゾート地」も同様の間違い。「リゾート」は「避寒、避暑のための地」の意味。
従来から 「従来」の「来」には「から」という意味があり、「従来」だけで、「以前から」ということになる。
連日暑い日が続く 「毎日暑い」、「連日暑い」なら問題ないが、「毎日暑い日だ」「連日暑い日だ」というと、「日」の重言になる。さらに、「毎日暑い日が続く」「連日暑い日が続く」となると、「日」の重言だけでなく、「毎」と「続く」、「連」と「続く」の重言も生まれて、重言のダブルミスになってしまう。
期待して待つ 「期待」は「良い結果を期して待つ」の意味。「留守を守る」も似た間違いで、「留守」に「主人、家人の外出中に家を守る、外出して家にいないこと」の二つの意味がある。
射程距離 「程」が範囲、距離の意味があり、「射程」だけで十分。「射程」が距離を表しているので、「距離」の重言になる。
配慮を払う 「配慮」は「心を配ること、他人のために気を使うこと」という意味。「配慮する」が正しい言い方。
京都の洛北 「洛」とは、中国の唐の都、洛陽のこと。京都はその洛陽を手本に「平安京」として都がつくられたため、日本では「洛」といえば京都を指すようになっている。洛北は日本では京都の北側ということになる。
第○日目 「第○日」「○日目」の「第」や「目」は序数詞といって、順序を示すもの。序数詞は一つの言葉の中にひとつ入っていればよい。
まず最初に 「まず」は「第一に、最初に」の意味であるから、これもあきらかな重言。「最後の追い込み」も同じ間違い。「追い込み」は「競争や仕事の最終段階」の意味があり、わざわざ「最後の」と言わなくても、終わり間近の追い込みということになる。
楽観視する 楽観の「観」は「みる」ということ。そこに同じく「みる」という意味の「視」がついてはダブりになる。ただ、楽観といえばよい。
およそ十分ほど 「およそ」、「約」、「ほど」、「ぐらい」といった「だいたいのところ」という気持ちを表す言葉も重言になりやすい。
宿敵のライバル 自分にとって運命づけられた好敵手のことを「宿命のライバル」という。この「宿命のライバル」を「宿敵のライバル」と間違えることがある。「宿敵」は英語で言えばライバルとなるので、重言になる。
火事が鎮火する 「鎮火」は「火が消えること、火事を消し止めること」という意味。「火事は消し止められた」でよい。

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